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笑気麻酔の裏にあったウエルズの不運

1844年12月10日の夜、ハートフォードのユニオン・ホールで興業師による「笑気ガス実験会」が開かれた。

彼も妻リザを伴なって見学に行った。彼がその実験を見て、脳裡に閃いたのは、このガスが一時的に知覚を麻痺させ、疼痛をも消失させるのではないかということであった。彼は主催者のコルトンを説き伏せ、自分の診療所で笑気麻酔による抜歯の臨床実験を行うことにした。

翌11日朝10時にコルトンは吸入器をもって診療所に来た。このとき、ウェルズは危険を伴なう未知の実験を自分自身で試みることにした。

術者は友人のリッグスに依頼した。抜歯(智歯)は全く無痛で行なわれた。このリッグスは、後に歯周病の研究者として高名になった学者である。

さて、これに自信を得たウェルズは、翌1845年1月、マサチューセッツ総合病院のウォーレンの前で笑気ガスによる抜歯の示説を行なった。しかし緊張のあまり失敗し、参加した人々は、彼は山師であるとののしった。彼は信用を失い、失望のあまり故郷に帰り、一開業医として淋しく世を送っていたが、それに加えて、仲間うちのモートンやジャクソンらに笑気ガスの効力を非難されたことが重なり、彼は悶々の情おさえるに由なく、遂にハードフォードを去り、ニューヨークに到って精神錯乱し、1848年1月24日、32歳の若さで孤立無援のもとに淋しく世を去った。

一部の人によると自殺であったともいわれている。しかし、笑気麻酔法の創始者たる名誉は彼の死後14年目の1862年にコルトン、スミスによって復活された。

そして、我々は、現在日常の臨床において、笑気ガスによる鎮痛療法として多大な利益を被っている。

(参考資料 長谷川正康著 歯科の歴史おもしろ読本より)

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