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お歯黒の起源は酒造りの説

古代の酒造りは女性の役であった。酒は主として果実酒であり、また酒造りは「口醸(かも)す酒」で、ヤマブドウ、モモ、アンズ、カキ、グミなどの果実を噛んで壺に入れ、唾液の酵素で発酵させる方法であったので、果実の渋で女性の歯は黒くなったのであろうと思う。

酒造りの上手な女性の歯は黒く光っていた。とすると日常の「働く者の美しさ」の象徴であったのであろう。「以草染歯(くさをもってはをそむ)」とあるが、草は植物全般と解釈すればうなづける。このようなことから、歯を黒く染めることが美の表徴の一つとなり、黒く歯を染める風俗ができてきたのではあるまいか。

一般には弥生式文化の時代から水稲耕作(すいとうこうさく)がはじまるとされるが、まだ米の生産量はわずかで、むしろ「イモ文化」であって、イモから酒を造ることがおこなわれたと思われる。人びとがイモを生のまま噛んで発酵させ、酒造りにはげんでいる状況が浮かぶ。当然イモのアクで歯は黒くなったのであろう。

わたしは第二次世界大戦のとき、インド洋のベンガル湾の南アンダマン諸島のポートブレアにいた。ここの原住民のジャラワ族の酒の造りかたが「口醸す酒」で、タロイモ、タピオカ、あるいは果実などを噛んで壺に入れ、それをさらに何回も噛みくだいて壺にもどし、自然発酵させて酒になったものを男たちは飲んでいた。彼女らの歯は茶褐色であった。

なお染歯(せんし)文化の文献によると、ベンガル湾の東海岸のニコバル諸島のニコバリー族にも黒歯の風習があり、ここでは男女とも歯を染めていた。彼らは自然の白い歯を、犬や豚のようだといって軽蔑する。女が歯を染めていない男から結婚を申しこまれて、それを許すと、女は部落中の笑いものにされるといわれていた。

参考資料:歯の風俗誌(時空出版)

 

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