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仏の「三十二相」と「歯の相」

「三十二相」はインドの人相観から

インドでは昔から、偉人、大聖(たいせい)を呼ぶときマハープルシヤーMahapurusaすなわち、大丈夫(だいじょうぶ)という尊称(そんしょう)を用い、釈迦(しゃか)もこのように呼ばれていた。

古代インドの相法(そうほう)(人相観)では、これら大丈夫は、いずれもこの三二種の容貌(ようぼう)を具(そな)えているという。

この三二のすぐれた相を持っているものは、家にあれば古代インドの理想的国王とされる転輪智王(てんりんじゅうおう)となり、出家するなら必ずや悟(さと)りを開き、一切衆生を救う仏陀(ぶった)となる、と伝えられている。

釈迦はこれら「三十二相」が完全に具(そな)わっていたと信じられている。

釈迦の歯は四〇本?

「三十二相」の中には「四十歯具足(ぐそく)」と、「歯白斉密(しはくさいみつ)」および「歯牙白浄(しがはくじょう)」という歯の相がある。

梵語(ぼんご)で歯をダンタといい、これはまた、インド数字で三二という数の異称(いしょう)でもある。私たちの歯はすべてそろっていると、乳歯二〇画、永久歯三二歯である。

「四十歯具足」とは、仏あるいは大聖の歯は四〇歯あるという意味であるが、はたして釈迦の歯は四〇本あったかと聞かれると、「見たわけではないのでわかりません」と逃げるほかない。

これは言葉のあやである。歯科医史学会の杉本茂春氏の「仏画・四十」と題する論文には、この問題について述べている。

「四十歯はこの世にもまれな非常にすばらしい、健康で整った歯ならびと理解するのが正しいのであって、四十本歯があるというのではない。斉密(さいみつ)、白浄(はくじょう)、堅硬(けんこう)、咀(そ)しゃく(嚼)能力抜群の健康な歯という意味である」

わたしも杉本氏の論にまったく同意見である。

いうまでもないことだが、歯吹如来の前歯二本だけ見える例は、この健康な四〇歯を代表して彫刻したものであると解釈している。

「歯白斉密(しはくさいみつ)」というのは仏の歯が白くきれいに、しかも緻密(ちみつ)に並んでいることをいう。乱杭歯(らんぐいば)でないことである。

また、「歯牙白浄(しがはくじょう)」も同様である。このほかに「歯根深(しこんしん)」がある。歯の根が深く張って堅固であるということで、これらはみな仏の持つ妙相であるとされている。

参考:歯の風俗誌 長谷川 正康 著

 

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