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戦争がつくった歯型とり材

当歯科医院で診療中に印象材(歯形取り材)の在庫がなくなり、患者さんの歯型がとれなくて大慌てしたことがあった。

その時、30数年前の学生時代のことを思い出しました。日頃、勉強なんかしない私が時間つぶしで図書館で「歯科理工学」という本をパラパラとめくっていました。

たまたま目に入ったのが歯型とりに使う寒天とアルギン酸印象材のことでした。

昼食後の満腹時、ウトウトしながら読んでいたため正確には憶えていないのですが、第二次世界大戦が始まるや、アメリカの歯科医師は日本から輸入していた歯型とりの材料である寒天が入手できなくなり、患者さんの補綴(金冠をかぶせたり、入れ歯をつくったりの)治療ができなくて大いに困ったとの一文が書いてありました。

当時、歯型とり材料は主に寒天を使っていました。そうです、あの食べる寒天です。私は寒天が大好物で正月には女房にたくさん作ってもらっています。(余談でした)

この寒天は日本の近海にたくさんあるのですが、アメリカの海岸に不思議となくて、ほぼ100%日本からの輸入に頼っていたようです。

日米間で戦争が始まるとアメリカでは寒天の輸入が完全にストップ、「こりゃ大変!歯型がとれない!歯がつくれない!どうしよう?!」との歯医者の悲壮な叫び。

そこでアメリカの歯科関連の研究者が総力あげて新しい歯型とり材(人工寒天)の開発に着手したのです。そして完成したのが「アルギン酸印象材」というものです。

しかし、この新型歯型とり材も寒天の正確さには叶いませんでした。 そこで現在良しとして行われている歯型とりは寒天とこのアルギン酸印象材 を組み合わせて行う方法です。

シリンジという注射器のようなものを使って削った歯や周辺に寒天を流した後、トレー(歯型とる道具)内にアルギン酸印象材を盛って 歯列全体に覆い歯型とりを完成するのです。

歯型をとったことのある方は記憶されていると思いますが、最初に熱いのが口に入りますが、これが寒天でその後の冷たいのがアルギン酸印象材です。

2つの組み合わせにより操作性がよく、かつ正確な歯型がとれるように なりました。

第二次世界大戦という戦争があったばかりに新しい印象材が完成し、我々日本の歯医者もこのアルギン酸印象材の恩恵をこうむることになったのです。

しのざき歯科医院
http://www.geocities.jp/dentopia21/top.html

 

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