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角と牙の愉快な関係

奈良の秋の伝統行事といえば、天然記念物である鹿の角切りがある。江戸時代の初期より300年以上受け継がれてきた。角は、オスのシンボルである。(注:ニホンジカ)喧嘩は,まず角をお互いに見せつける。決着がつかないとそれで攻撃する。

さてこの角、乳歯のように生え代わる。骨の上に角質のサヤで被われているだけなのだ。生まれた時にはまだないが、次の年にはゴボウのような角が生えてくる。

まるで袋に被われたようで血が通い柔らかい。これを“袋角”と言う。血液がカルシウムを送り、植物のように伸びて行く。秋には、覆っていた皮膚がはがれて角が完成する。

でもこの年、枝分かれはまだしていない。そして春先には、ボロッと抜け落ち下から新しい角が生えてくる。今度は、一つ枝分かれをした角である。

さらに次の春には、二つに分かれた角が生えるのだ。こうして四つになったら終了となり、以後年ごとに太く長くなる。

さて鹿にとって、秋は繁殖のシーズンだ。当然、気が荒くなり人にも危害を及ぼす可能性がある。そこで、角切りが行われている。のこぎりを引いても血が通っていないので痛くはない。

ちなみにこの角を枝角と呼び、英語では“アントラー”という。そう! サッカーチーム“アントラーズ”はここに由来する。

奈良公園にある春日大社の神様は、はるばる茨城の鹿島神宮から鹿に乗ってきた。だから公園の鹿は、神の使いとして大切にされているのだ。

さて,奈良公園は広大な敷地をもつが、いつ訪れても芝がきれいで心地よい。さぞ多くの人々の手が入っていると思いきや、どうもそうではないらしい。

芝刈り機一つないと言う。実は、1,100頭の鹿が、芝を刈っているのだ。へえ〜!と驚くのはまだ早い。これだけ鹿がいれば、年間の糞は300トンにもなる。

でも大丈夫。ここは、世界的にもフンコロガシの種類が多いことで有名なのだ。ファーブル昆虫記に出てくるスカラベ(コガネムシ)が処理をしてくれる。

糞を転がして球状にし、地中に埋めて食料にする。さらにその糞が肥糧となり、芝を育てるのだ。もし、景観を保つため人を雇うと、年間10億円もの人件費がかかるという。

10億円を鹿の数で割ると、1頭あたり年間90万円の仕事をしていることになる。

ところでトナカイは,オスもメスも角を持つ。雪の下からエサを掘り出すために必要なのだ。大きな角をもつオスは,真っ先に食物にありつくことができる。

しかし冬に角が落ちると,威張っていたオスが一気に順位を落とす。そして角のあるメスが食べ物にありつく事ができる。かくして食物の少ない時期,妊娠したメスは出産のための栄養っを補給する。

さて、一般的に角のある動物は牙がなく、牙のある動物には角がない。持っているとしたら、どこかの奥方だけだ。鹿の角は、肉食動物の牙と同じ意味を持つのだ。

歯のふしぎ博物館
館長 岡崎好秀
(岡山大学病院 小児歯科)
http://www.dent.okayama-u.ac.jp/syouni/OKAZAKI/omosiro/tuno/tuno.html

 

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