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カバの大あくび

カバは,水の中に住む草食動物である。日中は水中に潜み,夜間になると上陸しエサを食べる。一見すればおとなしそうに見えるが,神経質で凶暴な動物である。

アフリカでは,カバに襲われ死亡する者が後をたたない。ところで、カバは大きな口を開けている光景を目にする。これを見て“カバの大あくび”と揶揄される。おかげでむし歯予防週間には、各地の動物園でカバの歯磨きが行われる。

ところでカバは,どうして大あくびをするのだろう?実はこれ、威嚇行動の一種である。カバは,縄張りをおかされると、相手に攻撃をしかけるのだ。

面白いことにカバ同士の争いは、どちらが大きな口を開けるかにかかっている。大きな口を開けた方が勝ちなのである。負けた方は、口を閉じ。勝った方は、さらに大きな口を開ける。なんと150度も開くという。

だから動物園の行楽客に口の中を見せることは簡単とのこと。雄のカバの目の前で手を上げると,負けじと大きな口を開ける。手を上げている間は,口を開け続けるのでじっくり観察できるのだ。

さて,そのあくびも大きな牙を見せつけるためのものである。牙を見せる事で、己の強さを強調している。最初は小さな口だが,クチビルをまくりあげると同時に牙をむき出し、口を開く。

そうすると歯が飛び出すように見える。大きな口を開けることで,互いが傷つく争いを避けているのだ。

さて動物園の動物は,食欲が低下すると、口の中に問題があることが多い。数年前、獣医師から依頼され某動物園へカバの往診に行った。カバの口をよく診ると歯グキが腫れていた。

カバの前歯や牙(犬歯)は無根歯であり、生涯歯が伸び続ける。そのため軟らかい食物が多く,歯が適度に摩耗しないと、下顎の牙が上顎の皮膚を突き破ることもある。

このケースの場合、上下の牙の当たり方に問題があり、外傷性咬合を起こしていた。とりあえず歯グキに抗生剤の軟膏を挿入し、水で溶け出さないようワセリンを塗りつけた。

後日、歯科用の電気エンジンを持参し、獣医師に牙が強く当たる部分を削合していただいた。おかげで無事,食欲は回復した。あの時のカバ,今も行楽客にあくびを楽しませていることだろう。

歯のふしぎ博物館
http://www.dent.okayama-u.ac.jp/syouni/OKAZAKI/omosiro/kaba/kaba.htmll

 

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