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音楽雑記帳 その3

沈丁花の蕾も開き、今年は一足早い春を迎えている。音楽界も春を迎え、前回述べた、メトロポリタンオペラ一行の来日が待たれるが、世界的なテノール歌手、プラシッド・ドミンゴとソプラノ歌手、キャリン・バトルのガラコンサートの切符を手に入れるため、あらゆる努力をしているところである。ガラとは、たしかイタリア語で「ぜいたくな」とか「豪華な」などの意味だったと思うが、まさに今回の二人のコンサートはガラコンサートの名にふさわしいと思う。話はちょっと変わるが最近円高などのせいもあるであろうが、日本人の中流意識が浸透し、定着しつつあるが、政府にうまくあやつられ、「かわいい子羊」化が進んでいるように思う。ヨーロッパ世界の中流階級とは自家用車を2〜3台は持ち、必らず、別荘を避寒地あるいは避暑地に持ち、ヨットやクルーザーを持って夏のバカンスを一ヵ月とれる階級を指すのである。しかし日本社会では中流とは車を持ち、住宅ローンの重荷を背負いながら、一戸建ちを持って一年に2〜3日のショートトリップを1〜2回する階級を指すらしい。最近はあまりの土地の高騰で、外車でも買うかとか、ヨットでも共同で買うかなど、一戸建ちをあきらめ、生活を楽しもうという若い層が増加しているということである。なぜこんな事を例にとったかというと、日本とヨーロッパとの歴史的な莫大な社会資本の投下の相違を言いたいのである。あれは、7〜8年前、私は独身貴族であったところからヨーロッパへの貧乏旅行をさかんにし、パスポートを汚すことに汗を流すという、愚かな若者であった。初夏の旅だったと思うが、現在能登の病院で勤めている友人とヨーロッパの田舎の旅を楽しんでいた。それは音楽とうまい食い物を求めてのものだったが、ヨーロッパ特にイタリア、ドイツ、オーストリア等の国は人口1〜2万人の村にも必ずクラッシックコンサートができる音響効果の良いホールがあるのである。それはけっして大きくなく、そして一様に古い伝統ある建物である。白夜のヨーロッパ、午後8時頃から三三五五村の人々が老若男女、男はタキシード、女はイブニングドレスを着てコンサートホールに集い、幕の間ともなれば、ホールにて、ワイングラスを片手に自分の美しい娘の事、最近購入した絵の事、、今年の夏の一ヶ月のバカンスの行先の事、今凝っているチェスの事等、とてもなごやかな雰囲気を楽しんでいる。ヨーロッパは斜陽だとか、ヨーロッパは没落だとか、聞かされて行った旅先でこんな光景を目前すると、やはり、ヨーロッパ人の伝統的な文化への憧憬と社会資本の投下を何百年以上にもわたり続けていることも納得できる。ワーグナーの生まれたバイロイトという小さな村があるが、そこでは、毎年夏の8月にバイロイト音楽祭という世界的な音楽祭が開催される。そこには、世界的なピアニストのポリーニやカラヤンなどもしばしば出演することでも有名である。日本でいえば妙高高原あたりで音楽祭が開催されているといった感じである。音楽本論とはだいぶはなれたが、今、日本人は自らの文化とは何か、伝統の良さとは何か、そして今のライフスタイルで良いのか、心の余裕とは何か、心の安息とは何か、そろそろ日本人も物質指向型から文化指向型への転換をしなければならない時期が来ているように思う。そうでもしないと、世界からとりわけ我々の仲間のアジア諸国から狂心的な物質指向型人間の集団とされ、仲間はずれとなり孤立する恐れさえある。急に日本人の価値観を変えるのは困難だが、少しづつ自らのライフスタイルを変える必要があるのではないかと思う。とにかくヨーロッパ諸国は経済的に斜陽だからといってなかなかあなどれない国々なのである。
次の雑記帳には少し音楽のことを中心に述べることとして、この乱文をお許しいただき、次号請う御期待。

昭和63年3月吉日

坂本 貴史

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