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1ドルはいまだ360円なり

最近の新聞、テレビでは、連日リクルートに端を発した政治不信が大きな問題となっている。イデオロギーはともかく、いまや政治家の墜落、腐敗は目に余るものがあり、日本の政治化の質の低さは深刻であり、嘆かわしい限りである。我々にも責任はあるのであるが政治家の論理感は今や最低である。さて、最近よく日本は自由主義国家中GNPが第1位であるとか、国民の貯蓄率が世界一とか、長寿国であるとか、ハイテク工業先進国とか、日本を高く評価してくれる事句を良く見る。たしかに、一面では日本のハイテクノロジー労働者の質の高さ、生産性原理に基づく賃金設定による賃金のコントロール、官僚の質の高さ等事実なのだと思う。しかし、それは日本社会のほんの一面であることを深く認識することが肝要である。私は友人のW氏は、日本の賃金抑制政策、会社の資産留保が終身雇用を持続させ、会社の経済活動を側面から支え、活性化していると主張される。つまりおおむね、富の分配はうまくいっているという意見である。これも一つの考え方で、又一面では正解かもしれない。しかし、少し見方を変えてみると、我国の社会福祉、つまり我々の老後の生活保障、又公共施設をはじめとする社会資本の投資の低さ、また労働時間の多さ、余暇に対する経営者の警戒感、土地、住宅政策のおそまつさはどう割引いても後進国と断言してよいと思う。前国鉄再建委員会委員長の亀井正夫氏は日本を代表する財界人の一人であるが、彼も「日本は勤労者に土地住宅の夢も与えられない後進国である。いくらODA(対外経済援助)が世界一でも、国連への出資金が、世界一でも日本の勤労者には豊かさなど決して感じられないのである。これはまさしく政治の責任といえる」と断言しているのである。先日、日本のディズニーランドの重役をしている知人のO氏がひょっこり私を訪ねて来て昼食をしながら、米国、カナダを視察してきたときの話をしてくれた。これからは、O氏の話である。「坂本君、とにかく我々日本人は貧乏だよ。今回はフロリダのディズニーワールド、オリンピックのあったレイクプラシッド、パームスプリングスといったリゾート地を中心に回って感じたことだが、フロリダの高級ホテル「バカラトン」に宿泊したときの事、ホテルには、何十台ものロールスロイスが、ホテルの車庫に寝っている。ボーイに「これはどうしたのか?」と聞くと、「宿泊客が今年の夏まで置いていくんだよ」というのである。つまり、フロリダのリゾートに使用する為だけのロールスロイスということになる。またレイクプラシッドでは、何機もの水上飛行機が飛来し、リゾート地を訪れるのである。平均の滞在日数は1ヶ月程度であるそうだ。又、視察の帰りにハワイに立ち寄ったが、そこで朝食で同じテーブルとなった老婦人に「どちらから?」とたずねると「オレゴンから」と答え、「いつまで滞在するのか?」とたずねると、「オレゴンが暖かくなる5月頃」と簡単に答えた。そこで「あなたは大富豪か?」と聞くと、「昔看護婦をしていて、今は、年金生活で、友人と避寒旅行をしている」ということだった。日本人の老人は今、老後の生活の恐怖とボケ、貧困に毎日不安をつのらせている。日本の老人、障害者に対する福祉は、先進国中最低と言って良い。日本の勤労者の貯蓄率が高いというのは、決して裕福からではなく、将来に対して不安を少しでも減らす自衛手段にほかならないんだ。」とO氏は語ってくれた。我々に関係する事では、政府が医療費を不当に抑制する、とりわけ、歯科医療費を抑制するなど、もっての他である。いくら週休2日制などをやっても、日本は年2,100時間で、ドイツ、フランスの年間1,600時間にはとっても追いつかない。週休3日制にしてもとんとんである。しかし、日本では余暇時間を増やしても、それを受け入れる受け皿、つまり、スポーツ、文化施設が極端に少なくまたあっても有料で非常に高い。欧米では、無料で使用できるスポーツ、文化施設が充実している。やはり、長年にわたる社会資本の投資の差であろう。O氏は続ける「坂本君、今、日米貿易摩擦に関して、牛肉、オレンジ問題とか言ってるが、日米の貿易収支の総額から言うとたいしたことがない。単なるヒステリー的クレームだよ。たしかにアメリカ社会は貧富の差がはげしいが、日本人の感覚からして、彼らの毎日の生活や余暇をじっくりみてみると、まさに、いまだ1ドル360円であることを早く日本人が再認識し、日本の政治を変えなければダメだよ。」と言っていた。前途の亀井正夫氏も「日本程、食料品、生活物資の物価が非常に高く、土地住宅が高い国は世界中にない。これは政策が貧しいことであるし国富めど民貧しのしるしである。」と言っている。彼は前途したが日本を代表する財界人の一人である。私も同感である。我々も国民医療に貢献しているのであるから公的年金保障等を付与されても良いと思う。最近ハーバード大学教授フィルドスタインとマサチューセッツ工科大学教授レスタースローの話を聞くチャンスがあったが、彼らは共和党、民主党の政策ブレーンの差はあるにせよ、彼らの主張の根底には、やはり、自由主義国家の名主アメリカが、君臨していることが前提のように聞こえたのはやっかみなのであろうか。いまだアメリカがせきをすれば、確実に日本はカゼをひき肺炎となる構図は、そうは変わっていない。いまだ1ドルは360円也ということである。今我々は見せかけの豊かさに翻弄されることなく、真の豊かさとは何か、真の心の豊かさとは何かを深く考え政治を身じかに考え、政治に対して強い関心を傾注することが肝要だと思う。
欧米は物心ともに日本より3倍豊かなのである。

平成3年3月吉日

坂本 貴史

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